CATEGORY
ファミリービジネスの同族・家族の対話支援という仕事をしていると、家族礼賛主義、「家族が仲の良いことが一番の幸せ」という信念をもっているかのように思われるかもしれません。
理解し合い、確かな絆を感じられる家族であればそれは確かに幸せなことです。
しかし、わたし自身はどちらかと言えば「家族という仕組み」には懐疑的な人間です。
コントロールと無関心がない混ぜの家庭で育ち、20代から10年以上躁うつ病に苦しみ、家業に入ってからは、ともに働く父と娘、母と娘の関係にたいへん苦労しました。
心の底から望んでしたはずの結婚も、価値観が180度ちがった婚家の違和感に、我慢を選択せずに離婚してしまいました。
このような経験をもつ私にとって、家族について考えたり、他者の家族の対話に立ち会うことは、時に苦しい体験でもあります。
この仕事をはじめた頃は、クライアント・ファミリーの絆や、家族ならではの爽やかな甘えを目にして、あまりの健全さに目がくらみそうになったこともあります。
それでもなぜ、家族というものを仕事の中心におくのか?
おそらく私は、「家族とは何なのか」を追求したいのです。
社会の最小単位であり、幸せの象徴とされる家族。
自分を苦しめた家族。
求めているのに、届かない、家族。
家族とは、いったい何なのか。
私の仕事は、その答えを探るための長い道のりです。