TRUST BUILDER’S BLOG

CATEGORY

2024.01.16日-
「家族」を盲目的に信頼する日本

日経新聞の一面連載の「昭和99年ニッポン反転」。2024年1月13日朝刊は【「総おひとり様」の足音】(有料記事)というタイトルで、単独世帯が4割に迫る日本の現状が書かれていました。

身元保証人がいないと病院への入院や手術、介護施設への入所ができず、緊急治療の同意など命に関わるケースも続出しているという話です。

記事のなかで、高齢者の孤立問題に取り組むNPO法人代表の声が載っていました。

『家族』が前提の社会を変えないと、命が救えない。

こういう時の身元保証人は、多くの施設では「戸籍上の家族」が求められます。法的に証明された血縁関係、姻戚・縁組の間柄にある人のみが「保証してくれる人」とみなされるのです。

人生100年時代、配偶者の死別後も長い人生が待っている可能性や、子供のいない世帯の増加が見込まれます。

「家族が面倒をみてくれる」という無条件(かつ無償)の保証がなくなる社会に変化しつつある、ということです。

以前から議論になっていますが、戸籍に記載される血縁や姻戚関係だけが公的に保証され、それ以外の関係(事実婚やパートナーシップ宣言など)は保証外だという日本の民法は現実に追いついていません。

そもそも、私はこう思います。

血縁や姻戚関係だけを盲目的に信頼し、公的な保証にまでしてしまう日本の強烈な「家族意識」は、時に私たちを窮屈にしてはいないだろうか?と。

自分が誰を信頼し、誰を保証人におくのか。

それは、いざという時に自分の人生を誰に委ねたいかという、死生観にも通ずる意思決定ではないでしょうか。

民法における親子の扶養義務など法的な規定も承知の上で、あえてこうした問題提起をしてみたいと私は考えるのです。

  INDEX