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2021.07.11日-
元オーナー経営者の父が、ガバナンスを勉強し始めました

ある日、実家の両親と食事をしているとき、73才の父親が「(私が通ってたビジネススクールの)グロービスで、コーポレートガバナンスのクラスはあるのか?」とおもむろに聞いてきました。なにやら勉強したいようです。


上場企業の社外取締役を務めている父は、コーポレートガバナンスを学ぶ必要に迫られてて、実家にいくと近頃は、それ関連の本が転がっています。
自分が経営者だったときはガバナンスのガの字もなかったくせに・・・と、諸々苦労させられた跡継ぎ娘としては笑うしかないのですが、当の本人は忘れてるっぽい(笑)

しかし、時代と(自分の)環境変化にともなって新しいことを学ぼうとする柔軟性は、70才を過ぎたおじいさんとしては、なかなか驚くべきものだと思います。


非上場のオーナー経営者は、特に中規模以下では(本人が望むと望まざるとにかかわらず)絶対権力者です。社員を大切にしていても、チーム型経営を実践していても、オーナー経営者の言動を正す仕組みは自然発生的には生まれません。

「オーナー社長のいうことがルール」になりがちな中小・中堅企業では、ガバナンスはオーナー社長自らの倫理観に恃むしかなく、当人にとっては自己との厳しい闘いです。

「頭では分かっているけど、実践はなかなか・・・」の最たるものではないでしょうか。


父のように、現役時代は自社でガバナンスを整備していなかったとしても退任後、他社でその役割を担うことは、矛盾しないのだと思います。

現役時代には「分かっていてもできなかった」ことだからこそ、その重要性と実践の難しさの両方を、身にしみて理解しています。

それゆえ、経営者に耳の痛いことを言う社外取締役という役割は、自分が果たせなかったことを振り返り、新たな気持ちで取り組めるポジションなのかもしれません。

また、他人から明確に役割を与えられたほうが、よっぽど素直に取り組めるのだろう、と父の姿をみて思いました。


もろく、繊細な人間一人の倫理観に期待するより、他人の力を借りればよい。

社外取締役とは、経営者の孤独とプレッシャーを軽減させることのできる「他者の力を借りる仕組み」だと考えれば、中小企業でも取り入れやすいのでは、と考えます。


そういう意味でも、非上場企業にも社外取締役の起用をうながすルールが、はやくできると良いですね。

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