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事業承継というイベントは、継ぐ側も、継がせる側も初めての体験です。
社長が求めていることと、後継者が欲していることの期待をすり合わせつつ、時間をかけて承継の道すじを作ります。
また、経営者と幹部社員の橋渡しをすることで、会社一丸となった事業承継とその後の発展を促進します。
<トラストビルダーの役割>
下記のようなツールを使い、ファミリーミーティングや幹部社員も含めた対話を重ねながら、長期の承継プロセスを考えます。
①ファミリービジネス課題抽出チェックシート
事業や財務、あるいは自社組織といったビジネス面での診断は、金融機関や人事コンサルティング等によってチェックを受ける機会があります。
一方で「ファミリービジネス」という総合的観点で、自社+創業家を診断したことはありますでしょうか?
ビジネスだけでなく、オーナーとファミリーの視点からも課題を把握することで、永続的なファミリービジネスの一歩を踏み出すことができます。
≪チェック項目(例)≫
[ビジネスの観点]
・予算編成(年度予算)や予実管理が実施されていますか?
・経営の意思決定を行う会議において、社長以外の幹部、従業員が意見できる雰囲気がありますか?
[オーナーの観点]
・自社株の株価(相続税評価額)は知っていますか?
・株式移転に関する計画は立てていますか。もしくは実施していますか?
[ファミリーの観点]
・定期的な家族会議は実施されていますか?
・就業しているファミリー、就業していないファミリーのそれぞれの役割などが定められ、不満がないようにされていますか?
※実際には約40項目からのチェックにより、課題を抽出していきます。
②ジェノグラム分析
ジェノグラム分析とは、一般的な家系図にとどまらず、家族内の個人の関係、兄妹親族(本家と分家など)の関係を見える化するものです。それにより、現状の問題以外に潜んでいる問題が分かり、将来起こり得そうなことについて、ファミリーメンバーで話し合うきっかけとなります。
人は「見たいものしか見ない」生き物と言われます。家族内の「見たくないもの」に光を当てることで、一時的に痛みを伴うかもしれませんが、より強いファミリーの絆を作る足掛かりになります。
③三位一体事業承継計画の作成
三位一体事業承継計画とは、ビジネス/オーナー/ファミリーの3つの観点から等しく考える承継計画のことです(※)。
一般的には、現社長の引退年齢と後継者のビジネス実績をみて「そろそろ交代しても・・・」という思惑で「なんとなく」進行してしまうのが事業承継(いわゆる代替わり)。
また、「そろそろ」のタイミングをうかがっているうちに、現社長の体調不良(時には急逝)により、何の準備もないまま社長の座につく後継者、というのもよくある話です。
「そろそろ」にしても「突然の承継」にしても、その前後にどうしても生じるのがコミュニケーション不足による不信と混乱です。承継プランを見える化し、共有体制を整える。維持のための承継ではなく、発展に向けた承継に必要な作業です。
※三位一体事業承継計画表は一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会 理事長 西川盛朗(2014年7月)による。