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同族企業の創業家専門ファシリテーターという肩書で仕事を始めて5年が経ちました。
今月は、踏み入れたこの世界の奥深さに自分自身が参ってしまいそうな月でした。つまるところ「自分はまだ何も分かっていなかったのだ」の連続。
少し仕事が分かり始めた頃に必ず訪れる落とし穴かもしれません。
前職の時も同じようなプロセスがありました。
父親の会社を継ぐと決め、ビジネススクールに通い、学んだことを自社で実践し、少し成果が出たように見えたころ。「自分、けっこういけるじゃん?」と自信を持ち始めた先に、見事に落とし穴へハマりました。
丸山組の頃は要らぬ出費をしたり、社員と怒鳴り合いのケンカをしたり・・・という情けない体験を繰り返し、文字通り泣きながら覚えました(一番ひどい口げんかをした社員とは、結局その社員が転職するまで口をききませんでした。痛い記憶です(泣))。
いまやっているファシリテーターの仕事では、今のところ取り返しのつかない失敗は(たぶん)しておらず、幸いにも新しいクライアントや相談も少しずつ増えています。
だからこそ、怖い。
大好きなファシリテーションを軸にこの道を進んでみようと選んだファミリービジネス・ガバナンスとオーナー家の世界。
自分が親や姉妹とくり広げた痛い経験から簡単ではないと分かっていたつもりですが、「こんなにも深い世界に自分は足を踏み入れていたのか」と目まいがします。
思えばこれは、経営の世界に踏み込んだ時と同じです。
何かを必死で成し遂げようとすればするほど、踏み入れた世界の奥深さを知り、怖さが生まれる。
それでも、と自分を奮い立たせます。
自分の器を遥かに超えたものを相手に、それでも関わらずにはいられない、見て見ぬふりはできないと腹をくくって一歩を踏み出す。
そういう道を自分は選んでしまったのだから。
いま感じている迷いも、自身の至らなさも、すべて自分で引き受けて自分の足で歩くしかない。
仲間がいて、師匠がいて、学べる場所はある。
しかし。
どんな豊かな支えがあったとしても、動かすのは自分の手と足。
歩くのは私自身。
どれだけ時間がかかっても、自分の足で歩く。
もしかしたら一生かけても、たどり着きたい地点に到達することはないかもしれない。
それでも怖さと向き合い、おそるおそる一歩を踏み出し、歩いていきます。