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2024.11.15日-
ファシリテーションを学ぶ旅

研修講師仲間から「丸山さんはどこでファシリテーションを学んだの?」と聞かれました。

自分はどのようにしてファシリテーションのスキルと、ファシリテーターのあり方を積んできたのだろうか。
体系的に学んだ記憶はなく、またファシリテーションを体系的に学べる場所はほとんどないと思います。けれども自分のなかでは、ファシリテーションをずっと学び続けている感覚があります。

ファシリテーションの世界に足を踏み入れて、いつの間にか20年以上が経っていました。その変遷を記してみます。

最初にファシリテーションというものを知ったのは、大学院の研究室でした。理工学系の建築、そのなかでも都市計画系の研究室で、住民参加のまちづくりでは日本で嚆矢といわれる教授のもと、多くの院生がまちづくりワークショップを企画・実践していました。ほぼ全員がファシリテーターをやるような研究室だったのです。

研究室の事業(と言ってもいいレベルのアクティブな研究活動だった)なので、私もやれと言われ、見よう見まねでトライしたら存外に楽しかったのです。

これがファシリテーションとの出会い。23才の時でした。

そこからファシリテーションというものにアンテナが立ち、大学院修了後もセミナーを探すようになりました。

はじめてプロのファシリテーションを見たのは、本間正人先生でした。
本間先生の研修講師塾(今はライブ・エデュテイナー養成講座に名称変更)に何度か参加し、本間先生の「呼吸するようなファシリテーション」を間近でみて心が震えました。「ああなりたい!」と純粋に憧れました。

30才を過ぎた頃からは、ファシリテーションの周辺領域も勉強し始めます。コーチングやNLPの講座を受講。当時、父親が経営する家業にいた私とっては、従業員や父とのコミュニケーションに多いに役立ちました。その後、キャリアコンサルタント資格を取ったりグループコーチングに足を踏み入れたり。ファシリテーションを必要とする(そしてファシリテーションが必要とする)ジャンルを片っぱしから覗きました。

ラポールの築き方、傾聴と介入の間合い、プロセスではなく関係性を扱うことの意味など、それぞれのジャンルの体系を知ることで、徐々に自分なりの「ファシリテーション像」というものが形成されていきました。

家業を終え、ファシリテーターとして独立起業してからは、本と海外のプロフェッショナルが師匠となりました。

バイブルのように読み込んだのは『プロフェッショナル・ファシリテーター』(ラリー・ドレスラー著、森時彦訳)という本です。

この本にある「修羅場を切り抜ける6つの流儀」から毎月1つ選んで「今月のテーマ」を自分のなかで設定し、その日のファシリテーションを終えるたびに自己採点をつけました。

また、起業したての3年ほどの間は自分のファシリテーションの録画・録音をよく見返しました。参加者の表情を確認したり、自分の発言や動作を振り返って「こういう言い方をすればよかった」とセルフ・リフレクションを繰り返しました。

他人のファシリテーションから学ぶことも非常に多いのですが、自分のファシリテーションから学ぶというのが最も安価で、効果の高い方法だと思っています。

この頃はファシリテーションのことばかり考えていて、どうしたらもっとナチュラルで、参加者に負担のない、流れるようなファシリテーションができるだろうか、といつも考えていました。

40才近くになって、アダム・カヘンと、アーノルド・ミンデルがバイブルリストに加わりました。ジリアン・ミアーズさんの講座を受けたのも同時期です。

世界には、紛争や集団の対立に立ち会うファシリテーターがたくさんいます。そうした偉大なファシリテーターの空気に触れることで、世の中にはもっとずっと困難な状況でファシリテーションを武器に貢献しているチェンジ・エージェントがいるのだと、小さな池のなかでアタフタしている自分を諫めました。勇気づけられたとも言えます。

アダム・カヘンさんの来日時は、直接同じ空間で教わることができて感激もひとしおでした。ファシリテーターの存在がこんなにも場を安心させ、参加者を自由にするものだと肌で知れた体験は宝物です。

アーノルド・ミンデルさんには残念ながら間に合わなかったが、YouTubeや書籍で息づかいを感じています。何より幸福なのは、ミンデルさんに直接師事していらした日本人の諸先生から教わることができているいま。

そしてロバート・フリッツさんと田村洋一さん方に構造コンサルティング®を学ぶようになってからは、余計なものを少しずつそぎ落とすことができるようになって、自分のファシリテーションが軽くなってきました。

 

こうして書いてみると、ファシリテーションという切り口で私は、どれだけ豊かなものを受け取ってきたのだろうと思います。在り方、技術、関係性。人生の彩りはすべてファシリテーションから学んだと言えます。私の場合は。

 

ファシリテーターって、会議の役割分担だったり、リーダーやコンサルタントが立場上、引き受ける場合も多く、資格も必要ありません。誰がやってもいいし、少しの意識で誰でもできるものだと私は思っています。

それでも自分がプロフェッショナル・ファシリテーターを名乗る以上、プロフェッショナルとは何か?をいつも考えていて、自分にしかできない価値を創りたいと思っています。

そのために、私のファシリテーションの旅はこれからも続きます。

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