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2020.06.26日-
活かされる遺言を作るためには

韓国の巨大財閥・ロッテグループの後継者が確定しました。

2020年1月に亡くなった創業者の遺言がこの6月に見つかり、そこには「ロッテグループの後継者は次男に」と明記してあったそうです。

ロッテ創業者が遺言状 「後継者は次男」 (日経新聞 2020/6/25朝刊)

一方、長男へのメッセージは「グループ各社の経営や人事に直接関与しないように」と関与を諫める内容。案の定、この内容に不服な長男は、大株主の立場を利用して、弟(社長)の解任を求める株主提案を出したそうです。

2000年に書かれたこの遺言が法的効力をもつのかどうか、それ以前に長男と次男の関係は?なぜ長男は経営から外されたのか?など、ファミリービジネスアドバイザーとして気になる点は多々あります。

が、まず生じた疑問は「遺族が活かせる遺言って、なんだろう?」ということでした。

「遺言があるにもかかわらず、家督(経営の主導権)や遺産の分配をめぐってお家騒動」という話は珍しくないです。公正証書にしてあったとしても、納得いかず遺族の関係が悪くなることは、十分にあります。

いくら遺言に「子どもたちよ、仲良くやりなさい」と思いを込めても、死んだ人の言うことを聞く保証は、まったくないのです。

子どもや遺族の間で「亡くなった先代の遺志を継ぐことが、私たちの役目だよね」という共通認識が成立しなければ、遺言は無視されてしまう可能性が高いのです。

そして、共通認識をもつには、それ相応の関係性が育まれていることが重要です。遺言や遺産相続のために集まった親族たちが、一朝一夕に共通認識(ときには自分に不利になるような)を持つのは、なかなかハードルが高そうです。

本当の意味で「遺族のためになる」遺言とは、なんでしょうか?

もしかしたら、遺言を書く前にやっておくべきことが、あるのかもしれません。

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